直腸癌に対するロボット支援手術は、導入期においても術後排尿機能の障害を軽減する2021/07/29 【研究成果】
以下の研究成果はJournal of Robotic Surgery誌(2021年3月16日付)に掲載されました。
2020年8月より本学では、山形県内で初めて直腸癌に対するロボット支援手術を導入し、2021年7月現在まで16例実施しております(図1)。ロボット支援手術は、これまでの腹腔鏡手術と比べて、多関節で手振れのない精緻な手術が可能になるとされます。一方、直腸癌手術後においては、術後排尿機能の障害がしばしば問題になります。本研究では、ロボット支援手術の導入期とそれ以前の腹腔鏡手術の症例を、特に術後排尿機能障害の発生割合に注目して比較しました。ロボット支援手術は、腹腔鏡手術に比べて手術時間が長い傾向にありましたが、より複雑な付随術式である側方リンパ節郭清を行う場合には、手術時間に差はありませんでした。どちらの術式でも開腹手術に移行した症例はなく、術後の入院期間はロボット支援手術で有意に短縮されていました(15日→13日)。また中等度以上の術後排尿機能障害は、ロボット支援手術で有意に低率でした(図2)。ロボット支援手術は、厳格な資格と施設認定で行っている日本の現状では、導入期においてもこれまでの腹腔鏡手術に比べて、安全で術後機能障害を低減させ得ると考えられます。
|
|