医学部について

医学部長の挨拶MESSAGE FROM DEAN

未来医学志向の
山形大学医学部

山形大学医学部長永瀬 智Satoru Nagase

1.山形大学医学部の建学の精神と4つのミッション

山形大学医学部は建学の精神として「人間性豊かな、考える医師の養成」を掲げ、1973年(昭和48年)に設置されました。
そしてそのミッションとして、
①山形大学の理念等に基づき、人間性豊かな自ら考え解決する力を持つ医師・研究者等の養成を積極的に推進する
②地域医療機関等とのネットワークを活かし、医師確保や地域医療の向上、がん医療人材養成等に向けた我が国のモデルとなるシステムを確立し、県内の地域医療を支えながら高度医療を行う医師の養成を積極的に推進する
③予防医療やオーダーメイド医療、革新的な治療法等の開発に向けたゲノムコホート研究や、臨床応用を見据えた出口戦略と一体化したがん創薬研究を始めとする研究の実績を活かし、先端的で特色ある研究を推進し、新たな医療技術の開発や医療水準の向上を目指すと共に、次代を担う人材を育成する
④県内唯一の医育機関および特定機能病院としての取組みや地域がん診療連携拠点病院、地域周産期母子医療センター等としての取り組み等を通じて、山形県における地域医療の中核的役割を担う
ことを挙げています。


2.医学部設立とこれまでの経緯

 山形大学医学部は一県一医科大学構想の第一期校の一つとして1973年に創設されました(同時期の開学に旭川医科大学、愛媛大学医学部があります)。創設までの経緯ですが、1968年12月13日山形県に山形大学医学部設立準備委員会が設置され、当時の山形県知事(安孫子藤吉氏)から山形大学長(廣根徳太郎先生)宛に医学部設置についての協力の文書が提出されたところから始まりました。
 1972年5月6日山形大学医学部設置連絡会議(山形大学,山形県および山形市)が設置され、同年7月1日山形大学評議会にて山形大学教授(医学部長予定者)に中村 隆先生(勲二等旭日重光章受章者、東北大学名誉教授)が任用されることが決定し、引き続き同年7月28日同評議会で新潟大学教授一柳邦男先生の山形大学教授(附属病院長予定者)任用を決定し、その後医学部教授の選考が始まりました。
 そして、1973年9月29日国立学校設置法の一部を改正する法律(1973年法律103号)の公布施行により山形大学医学部が設置されたのです。従って、山形大学医学部は山形県、山形市が山形大学に要請し、日本の医学・医療を担う若者を育む精神で一致し開校したといえます。したがって、山形大学医学部のステークホルダーは、日本国、山形県、山形市などすべての公的組織であり、そのメンバーである日本国民、山形県民、山形市民でもあります。そして、この地域の方々は山形県の医療を山形大学医学部に頼り、逆に山形大学医学部にも地域に対して大きな責任が生じ、我々はそれに応えるための努力を続けてきたのです。
 医学部創立20周年にあたる1993年4月には、東北・北海道地区の国立大学で初の4年制看護学科が新たに設置され、医学科との2学科構成となりました。2003年には創立30周年記念式典を嘉山孝正医学部長(当時)のもと、そして、2013年に創立40周年記念式典を山下英俊医学部長(当時)のもとに行いました。さらに、令和5年11月に、山形県知事、山形市長、国会議員、文部科学省職員など多数の来賓を迎えて、創立50周年記念式典を上野義之医学部長(当時)のもと、盛大に行っています。そこで、改めて本学のミッションに基づく活動の方針をあらためて確認し、今後の発展を期したのはまだ記憶に新しいものがあります。


3.山形大学医学部のこれまでの取り組みとこれから

 教育に関しては、臨床医学教育の充実に長年取り組んできました。2009年には、臨床現場で医療チームに加わって学ぶ参加型臨床実習であるスチューデントドクター制度を日本の医学部・医科大学で初めて医学教育に導入しています。2012年からは、実践的な臨床能力を育成するために、大学病院と連携しつつ地域医療のための貢献している地域の病院という医療現場で幅広く臨床医学を学んでもらう体制をつくりました。臨床実習期間のうち、4週間ごとに3つの中核病院で臨床実習を行うもので、広域連携実習といっています。山形大学医学部では、医学部の4年から6年生にかけて74週に及ぶ臨床実習を実施していますが、これは日本の全医学部・医科大学で最も長期の部類に属しています。このような臨床現場での教育は、国際基準を満たしつつさらに充実した医学教育により、優秀な臨床医を輩出する原動力になっています。
 国際基準に関しては、2016年度に東北地方の大学ではいち早く日本医学教育評価機構による外部評価を受けて、医学教育分野別評価基準に則った教育プログラムとして認証を受けています。さらに、令和4年度には2回目の教育プログラム評価を受審し認証を受けました。これは、山形大学医学部が進めているプログラム整備と組織改革が、現代の教育システムに対応したものであることを示しています。さらに、「山形大学医学部創立50周年記念事業」の一環として建設が進められているYU-MAIセンター(Yamagata University faculty of Medicine Advanced Innovation Center)には、充実したシミュレーターを設置したシミュレーションセンターを設けるとともに、active learningやe-learningを行う学修環境が整備されることになっています。
 山形大学医学部では、地域住民の健康診査データを長期間蓄積し解析を行っている「山形県コホート研究」、そして、附属病院を受診した方の血液検体や病理検体の収集と遺伝子解析を行う「病院バイオバンキング」を推進しています。現在の医学はより精緻・正確な医療(precision medicine)を実践するために、患者さんの遺伝子から病気の成り立ち・原因(病態)を明らかにし、遺伝子情報に基づいた適切な治療をおこなうことを目指しています。「山形県コホート研究」、「病院バイオバンキング」は、疾患の病態解明と創薬研究、先制医療への応用など多くの研究成果をあげており、個人と地域の個別化健康つくりを支援しています。


4.課外活動

 学修環境だけではなく、課外活動の環境も充実しているのが山形大学医学部の特徴です。サッカー部は天皇杯の県代表になり、公式戦である天皇杯の本戦でJ1のチーム相手に得点を記録した医学生もいます。そのほかにも、準硬式野球部は、大学全体で構成されるチームが出場している東北地区の1部リーグで優勝し全国大会に出場しました。また、水泳の個人種目で東日本一位となり学長表彰を受けた学生もいます。勉学だけではなく課外活動にも真摯に取り組むのが山形大学医学部生の姿であり、学生時代のサークル活動を通して得られる経験はかけがえのないものです。
 また、自分の空いた時間で研究を続けていく「課外研究室研修制度」も整備されています。3年次の研究室研修終了後に継続して研究を続ける学生や、各講座が掲示している研究テーマに興味を持ち研究を開始する学生など、様々です。サークル活動、課外研究室研修にかかわらず重要なことは、学生生活をいかに過ごすかという目的意識を持つ事です。学生時代という人生における貴重な日々を納得のいくように過ごしていただきたいと思います。

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