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急性GVHDの発症に関わる新たなT細胞活性化制御機構を発見
-NLRP6-ZAP-70-Erkシグナル伝達経路を解明-2026/09/25 【研究成果】


研究成果について、プレスリリースしました。

本研究成果が、国際的な血液学専門誌「Haematologica」電子版に掲載されました。

【研究成果の概要】
 山形大学・ミシガン大学・ベイラー大学・ミネソタ大学・インディアナ大学(以上、米国)・フライブルク大学(ドイツ)からなる国際共同研究グループ(代表:東梅友美・元山形大学医学部附属病院 病院教授)は、同種造血幹細胞移植における重篤な合併症の一つである急性移植片対宿主病(graft-versus-host disease: GVHD)の発症機序について、インフラマソーム関連分子のNLRP6が、T細胞内のZap-70-Erk1/2シグナル伝達経路を介してT細胞の活性化を制御し、GVHDの発症を抑制することを明らかにしました。
 NLRP6は腸管上皮細胞や免疫細胞などに発現し、腸内環境の恒常性維持に重要な役割を果たすとともに、大腸がんの発症を抑制することが知られています。一方、急性GVHDの発症に中心的な役割を担うドナーT細胞において、NLRP6がどのような役割を果たしているかは、これまで明らかになっていませんでした。
 研究チームはマウス骨髄移植モデルを用いて、Nlrp6欠損(Nlrp6⁻/⁻)ドナーT細胞を移植したマウスでは、野生型T細胞を移植したマウスと比較して急性GVHDが重症化し、生存率が有意に低下することを明らかにしました。

【本研究のポイント】
活性化T細胞におけるNLRP6の機能
・Nlrp6⁻/⁻ T細胞は、アロ免疫反応に伴う増殖が亢進し、炎症性サイトカインの産生が増加。
・Nlrp6⁻/⁻ T細胞を移植したマウスは、急性GVHDが重症化し、生存率が低下。
・活性化したNlrp6⁻/⁻T細胞では、ZAP-70-Erk1/2シグナル伝達経路が増強。
・急性GVHDを発症した患者のT細胞ではNLRP6の発現が低下。

 以上の結果から、NLRP6がT細胞の過剰な活性化を抑制する重要な制御因子であることが明らかになりました。
 本研究は、T細胞におけるNLRP6の発現や機能を選択的に高めることで、過剰なT細胞活性化を抑制し、GVHDをはじめとするT細胞の過剰な活性化が関与する免疫疾患に対する新たな治療法の開発につながることが期待されます。

 論文情報 

【論文タイトル】
NLRP6 regulates donor T cell activation and acute graft- versus-host disease via ZAP-70-Erk pathway.

【論文著者】
Eri Matsuki1, Masahiro Miyata1, Ryo Sato2, Jana Gawron3, Masahiro Suto4, Hiroya Tamaki5, Hideaki Fujiwara6, Ai Ito7, Tsunekazu Hishima7, Yuki Ishizawa2, Erika Sekiguchi8, Tayu Tobai9, Sae Ushio10, Katherine Oravecz-Wilson11, Grace Chen12, Isao Tawara13, Kazunobu Ichikawa1, Masafumi Watanabe1, Kenichi Ishizawa2, Hisayuki Yokoyama2, Daniel Peltier14, Bruce Blazar15, Robert Zeiser3, Pavan Reddy16, Tomomi Toubai2,17

【所属】
1.山形大学大学院医学系研究科内科学第一講座
2.山形大学大学院医学系研究科内科学第三講座血液・細胞治療内科学分野
3.フライブルク大学医学部内科学第一講座
4.山形大学大学院医学系研究科創薬科学講座
5.兵庫医科大学血液内科
6.岡山大学血液腫瘍内科
7.がん・感染症センター都立駒込病院病理科
8.慶應大学病院血液内科
9.ケースウエスタンリザーブ大学
10.山形大学医学部医学科
11.ミシガン大学医学部血液腫瘍内科
12.ミシガン大学医学部消化器内科
13.三重大学医学部血液腫瘍内科
14.インディアナ大学医学部小児科
15.ミネソタ大学医学部小児科
16.ベイラー大学がんセンター
17.がん・感染症センター都立駒込病院臨床研究・治験センター

【雑誌名】
Haematologica
DOI: 10.3324/haematol.2025.289144

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