お知らせ

「すこやか教室」を開催 高齢者のこころの不調について解説2025/10/02 【お知らせ】


講演する 能登 契介 助教

 9月29日(月)山形市蔵王コミュニティセンターにおいて「すこやか教室」を開催いたしました。
 今回は「高齢者のこころの不調と不眠について」をテーマに、山形大学医学部精神医学講座助教の能登契介先生が講師を務めました。 講演は前半で病気の解説を、後半では治療や受診のタイミング等について、不眠症やうつ病、認知症を中心にお話がありました。

睡眠の障害について

 眠れない・眠すぎる・寝ても途中で目が覚めるなど、睡眠の量と質が阻害された状態すべてを指します。
 明確なストレスによる短期間の不眠が生じる適応障害不眠や、就床時間が早い場合等による不適切な睡眠衛生による不眠もありますが、これらの睡眠障害を除外した後に診断される「原発性不眠症」が一般にいう不眠症といわれます。治療として、睡眠衛生指導を行い、改善しない場合は薬物療法の開始を検討していきます。
 年齢によって必要な睡眠時間は変化し、季節によっても変動することもあります。また、持病等によっても睡眠の状態が変化する可能性もあるため、睡眠には個人差があり、年齢等による平均睡眠時間が各個人にすべて当てはまる訳ではありません。

高齢者のうつ病について

 非高齢者のうつ病と比べると、病気になる確率は低いとされますが、他の病気により誘発されるうつ病や薬剤によるうつ状態の頻度は高いです。
 症状は、意欲の低下や身体的な症状、不安焦燥が目立つことが挙げられ、自殺リスクも非高齢者と比較して高いとされ、自殺予防の観点からも、治療介入の重要性は高いことがわかります。

認知症について

 脳の病変が原因で、記憶能力や認知機能等に障害をきたし、生活機能にも影響がでる状態です。
 最も高頻度にみられる認知症はアルツハイマー型認知症であり、最近の記憶障害から始まり、次第に今はいつ?やここはどこ?等の見当識障害が出て、最終的には無関心や寝たきりの状態に至ります。機能障害は治せませんが、進行を阻害する薬剤により病状進行の抑制が期待されます。
 他に、レビー小体型認知症があり、幻が見えるや寝ぼけて動き回る、身体が固くなり転びやすくなるなどの症状があり、アルツハイマー型認知症よりも比較的急激に進行するため、注意が必要です。

治療と受診について

 不眠症の治療はすぐ薬ではなく、まずは、定期的な運動の推奨や寝室環境の整備等の睡眠衛生指導を行い、これでも改善しない場合は薬物療法による治療を行い、患者さんの状況等に最もマッチする薬理作用を持つ睡眠薬を選択していきます。うつ病の治療は基本的に休養と薬物療法ですが、高齢者の場合は別な身体疾患の合併の可能性もあるため、慎重なお薬の調整が必要となります。認知症の治療も同様に薬物療法ですが、生活状況に応じてお薬の選択を検討します。
 病気と疑った際の受診のタイミングですが、精神科の受診はハードルが高いかもしれませんが、つらい症状や周りの家族がみて何か気になる症状があれば、躊躇わずに受診していただきたいです。

 最後の質疑応答では、日頃感じている不眠に関する疑問に、能登先生からアドバイスなども交え、答えていただきました。

◆すこやか教室とは・・・ 「山形県コホート研究」の成果の還元と県民の健康増進を図る目的で2007年にスタートした山形大学医学部の出前講座です。研究に協力している自治体(山形市、酒田市、寒河江市、東根市、天童市、上山市、米沢市、高畠町、舟形町)からテーマを募り、山形大学医学部の医師、看護師、理学療法士、作業療法士、管理栄養士が講演や実技指導を行っています。

講演の様子