【プレスリリース】新型コロナウィルス感染症蔓延の第1波と第2波とでは、山形県内のがん入院手術の減少傾向が異なる。2022/10/04 【研究成果】
研究成果について、プレスリリースしました。
【発表のポイント】
● 2020年4月に政府によって発令された緊急事態宣言は、発令直後にがん手術入院件数を減少させた可能性があることがわかりました(新型コロナウィルス感染症入院患者を受け入れていた病院はそうでない病院と比べて、80件の統計学的に有意な減少)。
● 一方、山形県には緊急事態宣言は発令されませんでしたが、第1波よりも感染者数が多かった2020年12月からの第2波では、拡大直後は減少しなかったものの、感染者が拡大するにつれて2021年3月までの期間に1カ月ごとに約50件ずつ、がん手術入院件数が減少していたことがわかりました。
● 新型コロナウィルス感染症の蔓延自体を抑さえることも、がん手術入院治療を継続するうえで重要ではありますが、都道府県ごとの感染拡大状況に合わせた対策を検討することが重要であることが示されました。
● また、新型コロナウィルス感染症患者を受け入れていない病院は、2020年4月および12月のいずれの時期においても、がん手術入院件数増減において統計学的な有意差は確認されませんでした。
● がん手術入院治療を主に担う施設と新型コロナウィルス感染症治療を主に担う施設というような入院医療提供体制の役割分担を考慮することが重要であることが示されました。
論文情報
Kashiwagura N, Motoi F, Cooray U, Fukase R, Katayama Y, Osaka K, Murakami M, Ikeda T. Effects of the different periods and magnitude of COVID-19 infection spread on cancer operations: interrupted time series analysis of medical claims data. Cancer Medicine 2022. https://doi.org/10.1002/cam4.5259