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山形県における非定型大腿骨骨折症例の検討 - YamaCAFeスタディーから -2021/08/30 【研究成果】


以下の研究成果はJournal of Bone and Mineral Metabolism誌(2021年7月付)に掲載されました。

 転落や交通事故などによる受傷が多い大腿骨転子下、骨幹部骨折において、2005年ころから非外傷性もしくは軽微な外傷により特殊な形態を示す非定型大腿骨骨折の報告が増加してきました。その為、当科では山形県の全整形外科手術が可能なご施設に協力を依頼し、2009年から山形県における非定型大腿骨骨折実態調査委員会 (Yamagata Prefectural Committee of Atypical Femoral Fractures)を設立し、YamaCAFeスタディーを開始しました。
 YamaCAFeスタディーにより、山形県の非定型大腿骨骨折は1.43/10万人/年の割合で発生し、その要因として骨粗鬆症治療薬であるビスフォスフォネート製剤やステロイド使用、リウマチ性疾患、大腿骨弯曲が関連していることが示されました。特に大腿骨転子下、骨幹部非定型大腿骨骨折のそれぞれの特徴が明らかとなり、その研究成果が、この度 Journal of Bone and Mineral Metabolism誌 (JBMR, 2021;39:700-711. doi: 10.1007/s00774-021-01215-4)に掲載されました。
 このYamaCAFeスタディーは、山形県の24の整形外科施設が参加して調査を行った研究で非常に貴重な結果が得られました。高齢社会を迎えて骨粗鬆症治療は重要な課題となりますが、その主要な治療薬であるビスフォスフォネート製剤使用時に、非定型大腿骨骨折を併発する可能性があります。特に、ステロイド使用患者さんやリウマチ性疾患を併発した患者さん、大腿骨弯曲を持った患者さんは、その発症に注意が必要であることを報告しました。

図1rev1.jpg
非定型大腿骨骨折 受傷後
図2rev1.jpg
手術後

 参考文献 

Takakubo Y, Miyaji T, Ohta D, Okuda S, Takagi M, et al. Differences in subtrochanteric and diaphyseal atypical femoral fractures in a super-aging prefectural area: YamaCAFe Study. J Bone Miner Metab. 2021 Jul;39(4):700-711. doi: 10.1007/s00774-021-01215-4.